石川県金沢市の総合木材問屋
フルタニランバー株式会社

コラム「森のフルタニさん」

能登ヒバとは?特徴や効果、活用事例等を紹介

投稿日:2021.04.26/更新日:2022.10.03

森林が広い地域に分布している日本では、木材も重要な天然資源になっています。

林業が主要な産業となっている地域も多いですが、石川県の能登地方なども、林業が盛んな地域です。

 

 

石川県の県木で能登地方を代表する木材として知られているのが能登ヒバです。
石川県の木材問屋である当社フルタニランバーでは地域材の利用促進の為、能登ヒバの取扱いを強化しています。

 

 

この記事では、能登ヒバの特徴や活用事例、また新たな活用方法について詳しく紹介するので、能登ヒバに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

能登ヒバとは

木材

この項目では、能登ヒバとは(由来 等)どのような種類の木材であるかについて、詳しく紹介します。

 

 

能登ヒバとは、能登地方で档(あて)と呼ばれている植物のことです。

档は東北地方に広く自生しているヒバと同じ種類の植物ですが、能登地方では古くからこの名前が使用されています。

 

 

能登産のヒバであるから、能登以外の地域では能登ヒバと言われることが多いですが、能登地方を代表するブランド木材として、全国的にも広く知られるようになりました。

 

 

能登ヒバの学名は「ヒノキ科アスナロ属ヒノキアスナロ」と言い、アスナロに近い種類の植物であることがわかっています。

アスナロは日本の広い地域に自生している植物で、北は北海道の南部から南は九州地方まで広い地域で植林可能です。

 

 

能登ヒバに代表されるヒノキアスナロの木はアスナロ属の植物の中でも、緯度が高い地域に多く自生しています。

北海道が北限であることは他のアスナロ属の木と共通していますが、ヒノキアスナロの南限は、関東地方の北部です。

 

 

能登半島を含む北陸地方の広い地域に分布している植物で、佐渡島にも自生しています。

 

 

 

 

能登ヒバの歴史

木材

能登地方でいつ頃から能登ヒバが植林されるようになったのか詳しいことはわかっていませんが、12世紀に他国から持ち込まれたものが由来になったという説もあります。

 

 

当時東北地方の有力な豪族であった奥州藤原氏の一族が、地元のヒバを苗の状態で持ち込んだと言われていて、このヒバがきっかけとなり、能登の広い地域にヒバが植林されるようになったと伝えられています。

 

 

能登ヒバには別の由来もあり、17世紀に他国から持ち込まれたのがきっかけで、能登に広く植林されるようになったという説もあります。

この説では、当時加賀藩の藩主であった前田綱紀がヒバを他国から取り寄せたということになっています。

 

 

綱紀がヒバの苗木を手に入れたのは現在の青森県で、当時この地域では他国にヒバを持ち出すことを禁止していたことから、加賀藩の藩士を直接現地まで派遣して、苗木を入手させたという言い伝えが残っています。

 

 

どちらが本当の由来であるかは現在でも不明で、上記の両方の説とは全く別の説も有力です。

 

 

能登ヒバのルーツ

木材

能登ヒバは他国から持ち込まれたものではなく、もともとこの地方に自生していたという説もあります。

 

 

この説の有力な根拠となっているのが、能登地方で発見された縄文時代の遺跡です。遺跡からヒバの木材が発見されため、縄文時代からこの地域でヒバが利用されていたことが証明されました。

 

 

このヒバが、地元で自生していたものを切ったものなのか、他国の人間から譲り受けたものかは不明ですが、能登自生説の有力な根拠の一つとなっています。

 

 

その一方、奥能登地域に古くから自生する能登ヒバの遺伝子を研究した結果、東北地方のヒバとは特徴が異なっていたという研究結果も発表されていて、能登に自生していた可能性がより高くなりました。

 

 

能登ヒバの特徴

木材

この項目では能登ヒバの特徴(効果・価格)について、まとめて紹介します。

能登ヒバは非常に多くの効果をもつ木材として知られていて、特に有名なのが殺菌効果防腐効果です。

 

ヒバ材の特徴やメリット、価格相場については🔻の記事で解説しています。ぜひご参照ください。

 

◆「ヒバ材」にはどのような特徴がある?主な用途やメリット・デメリットも解説

 

 

能登ヒバの効果

木材

能登ヒバに強い殺菌・防腐効果があるのは、ヒノキチオールという成分を多く含んでいることが理由となっています。(※このヒノキチオールは名前にヒノキがつきますが、ヒノキには含まれていません。)

 

 

能登ヒバには消臭効果もあり、トイレの匂いや生ごみの匂いなどもおさえることができます。

 

 

虫を寄せ付けにくい効果があることも能登ヒバの大きな特徴になっていて、虫が多い地域に家を建てたい場合にも最適な木材です。

 

 

能登ヒバには気持ちを落ち着かせるアロマ効果もあり、能登ヒバで作られた家は独特の良い香りがするので、家の中でリラックスした時間を過ごせるのが魅力です。

 

 

 

 

能登ヒバの価格相場

木材

価格が手ごろであることも能登ヒバの特徴で、日本でも広く販売されているスギの木の1.6倍から2倍程度の価格で購入できます。

 

 

2021年3月におけるスギの素材価格は全国平均で1立方メートルあたり13400円であったので、この値から計算すると、同月の能登ヒバの1立方メートルあたりの平均的な素材価格は、21000円から27000円程度であったと推定できます。

 

 

能登ヒバの活用事例

木材

この項目では、能登ヒバの活用事例(フローリング・羽目板・まな板・チップ・箸 等々)や新たな取組(楽器制作)について、詳しく紹介します。

 

能登ヒバの活用事例①

木材

能登ヒバの活用事例の一つとしてあげられるのが、住宅のフローリング・羽目板です。

 

 

フローリング・羽目板用の木材として能登ヒバが最適なのは美しい木目を持つ見た目と高いアロマ効果があるからです。

 

 

柔らかで快適な足触りでリビングや寝室のフローリング・壁・天井などにおススメです。

 

能登ヒバの活用事例②

内装

能登ヒバは内装のトイレ・風呂場・キッチン・ランドリールームなど水廻りの空間にも活用が出来ます。

 

 

能登ヒバが水廻り空間の材料として最適なのは、アンモニアに対する強い消臭効果と水湿に強い効果を持っているからです。前述のフローリングなどに加工し、是非、水廻り空間にご利用ください。

 

 

 

能登ヒバの活用事例③

能登ヒバは住宅の構造材の材料としても高い性能があります。

 

 

能登ヒバは耐久性が高く腐りにくく、高い防虫性から白蟻に強いからです。

 

 

材料は⾧持ちするため、住宅の骨組みの土台と柱にも適しています。住宅の老朽化の原因となることも多いシロアリの被害を、効果的に防ぐことができます。

 

能登ヒバの活用事例④

能登ヒバはまな板の材料としても、活用することができる木材です。

 

 

能登ヒバがまな板の材料として最適なのは、包丁の衝撃にも耐えられる十分な強度を持っているからです。

 

 

能登ヒバはせん断やめり込みに対して強い強度を持っている木材として知られていて、林業試験場でおこなわれた実験では、カラマツなどのせん断に対する基準強度が2.1N/平方ミリメートルであったのに対し、能登ヒバの参考試験値は5.0N/平方ミリメートルとなっていて、2倍以上の強度を持っていることがわかりました。

 

能登ヒバの活用事例⑤

箸

能登ヒバはお箸の材料としても広く使用されています。

お箸は人の口の中に直接入れるものなので、使用する木材によって品質も大きく異なりますが、能登ヒバはお箸の材料として使用するにも最適な木材です。

 

 

能登ヒバがお箸の材料に向いているのは、高い殺菌機能を持っているからです。食物の雑菌がつきやすいお箸も、清潔に使用しやすいのがメリットです。

 

能登ヒバの活用事例⑥

木材

能登ヒバはチップの材料として活用することもできます。

 

 

チップの材料として使用する木材に必要なのは香りの良さですが、特有の芳香があることも能登ヒバがチップの材料として向いている理由です。

 

 

能登ヒバのチップはさまざまな目的で活用できますが、靴の中にチップを入れておけば、天然の消臭剤や抗菌材としても使用できます。

 

 

能登ヒバの新たな取組

ギター

弊社では、能登ヒバで検証されている効果とは異なる新たな利用価値を創造するプロジェクトに取り組んでいます。

 

 

能登ヒバは高い音質を持つことが仮説としてあり、これまでスピーカーやサウンドルームの内装などにも使用されてきました。

弊社ではそれを実証するため、能登ヒバで楽器を作る事業を展開します。

 

 

また楽器材に使われる材は、高級な天然銘木であることが多く、それらに変わるサスティナブルな新しい楽器材としての利用価値も創造します。

 

 

このプロジェクトは 「ATENOTE (アテノオト)」と名付け、今後、楽器メーカーとタイアップし、様々な楽器を制作します。

 

 

能登ヒバを使って実際にギターを試作しました。ボディだけでなく、繊細な部位のネックや指板・ナットにも能登ヒバを使用しました。

ネック・指板・ナットで使用する為に、弊社オリジナルの木材乾燥機で木材乾燥を行い経年変化を抑えたことと、硬度を向上させるために木材を圧縮する技術を使用しました。

 

 

能登ヒバは針葉樹で比重0.41程と軽めです。楽器の部材としては硬度が足りない場合がありますが、今後この圧縮技術を応用させて制作を進めます。

 

 

実際に制作したギターの音域特性は、中音域に優れた印象で素材自体が持つ生鳴りを体で感じられ唯一無二のサウンドを有することがわかりました。またハムバッカーピックアップとの相性が良く少ないコントロールで多様な音が作れます。

 

 

実際の試奏動画はこちら。

 

実際に試奏したプレイヤーからも評価が高く、音が良いという新たな特性を1つ実証できました。

現在、エレキギターの他、エレキベース、ロックドラムセット、アコースティックギター、ハープ、和太鼓、ピアノ、バイオリンなどの制作も計画しています。

 

 

能登ヒバを入手する方法

木材

この項目では能登ヒバを入手する方法について、詳しく紹介します。製品として完成された状態の能登ヒバを手に入れたい場合には、弊社サイトからお問い合わせ頂き、お電話などで用途などをお聞かせ頂き、ご提案をさせて頂きます。

 

 

原産地である能登まで足を運んで、現地で購入するという方法もありますが、弊社独自のネットワークと木材乾燥・製品管理・加工技術で高品質な製品をお届けいたします。

 

 

木材は品質管理がとても重要です。製品を入手したい場合には木材を専門にワンストップサービスを行っている弊社をご利用ください。

 

 

また最近では能登ヒバを使用した製品を販売しているショップも多くあります。自宅にいながらにして、能登ヒバを使った製品を入手することも可能です。

 

 

まとめ

木材

能登ヒバの由来や特徴について詳しく紹介してきましたが、能登ヒバは木材としての魅力を多く持っているので、さまざまな用途で利用されています。

 

ヒバ材の特徴やメリット、価格相場については🔻の記事で解説しています。ぜひご参照ください。

 

◆「ヒバ材」にはどのような特徴がある?主な用途やメリット・デメリットも解説

 

この記事を読んで能登ヒバに興味を持たれた方は、是非フルタニランバーまで、お問い合わせください。