フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
パイン材とはどんな木材?経年変化や使用される家具、メリット・デメリットを解説
投稿日:2022.12.05/更新日:2022.12.18
木材のなかでも特にコストパフォーマンスが高く、家具のほかに床材や壁材などさまざまな用途に用いられるのがパイン材です。
しかし、パイン材と聞いても、木材に詳しくない方にとっては何が原料となっているのか、どういった特徴があるのか分かりにくいものです。
本記事では、パイン材の特徴や用途、家具や建材などに使用する際のメリット・デメリットも含めて詳しく解説します。
Contents
パイン材の4つの特徴とは?
パイン材とは、マツ(松)の木を加工した木材のことを指します。
一口にマツといっても世界には50種類以上が存在し、日本以外の木材も多く利用されています。
そのなかでも、主に北米産のマツを加工したものをパイン材とよぶのが一般的です。
①植林から伐採の時期
パイン材の原料となるマツの木は、植林から約30年程度で大径木に成長し伐採が可能となります。
マツと並んで人気の木材にスギやヒノキなどがありますが、これらは植林から伐採までのサイクルが45年程度です。
パイン材はスギやヒノキに比べて3分の2程度のサイクルで伐採が可能であることから、日本のみならず世界でも人気の木材といえます。
②木目・香りの特徴
パイン材の木目は節が多く、全体的に黄色に近い風合いが特徴的です。
木目そのものは境界線が曖昧であり、木の温もりを感じられるような温かい印象があります。
なお、節の少ないパイン材はその美しい見た目から希少価値が高く、高値で取引される傾向も見られます。
パイン材は木の香りが強く、素材を活かした家具や建具などにも多く用いられます。
③強度
パイン材は比較的柔らかく、強度は決して高い木材とはいえません。
そのため、たとえばフローリングやダイニングテーブルの天板などに無垢材を使用する場合には、傷がつきやすいためコーティングなどを施しガードしたり、金具や接着剤などで補強しながら強度を上げて使用したりすることもあります。
④経年変化
パイン材は湿度や温度の影響を受けやすく、経年変化もしやすい特徴があります。
また、加工した直後は黄色みがかった色をしていますが、年数が経過するごとに褐色に変化していく特徴もあります。
パイン材の代表的な5つの種類
パイン材を細かく分類すると、木材の原産国によってさまざま呼び名や種類があります。
パイン材の主な種類を5つ紹介しましょう。
①国産材
国産材としては、赤松やカラ松をはじめとする木から生産されるものが該当します。
ただし、冒頭でも紹介した通り、国産のマツを原料とした木材はパイン材と表現されることは一般的ではなく、地松材とよばれることが多いです。
②メルクシパイン
メルクシパインとは、インドネシアをはじめとした東南アジアに分布するマツを原料としたパイン材です。
温かい地域で育つマツのため、広葉樹のような明るめの色合いが特徴です。
③ラジアータパイン
ラジアータパインはパイン材のなかでも特に生産量が多く、北米産のものやニュージーランド、チリ産のものが多く流通しています。
価格が手頃で加工がしやすく、DIY用の材料としても人気が高いです。
④オーストラリアパイン
オーストラリアパインはその名の通り、オーストラリア産のパイン材です。
「アロウカリア(もしくはアロカリア)」とよばれる品種のマツを加工してできたもので、日本国内では合法的に伐採された木材であることを証明するFSC認証のとれているものだけが流通しています。
⑤ベイマツ
ベイマツは、アメリカ産のパイン材です。建築・合板・建具・家具などに幅広く使われます。
樹脂を多く含むのでヤニがでることもあり注意が必要です。
細目で良質な上級グレードのベイマツは「ピーラ」と呼ばれます。
パイン材がさまざまな用途で使われる理由
パイン材は家具や建具などさまざま用途に活用されていますが、その背景にはさまざま理由があります。
ひとつ目は、木材そのものが柔らかく加工がしやすい点です。
切断したり穴を空けたり、削ったりする際に作業が楽で、手間がかかりません。
家具職人や建築現場で働くプロにとってはもちろん、日曜大工などをする方にとっても喜ばれる木材といえるでしょう。
ふたつ目のポイントは、価格の安さです。
全世界でさまざまな種類が流通しているパイン材は、安定供給がしやすく生産量も多いため、コストを抑えつつ木材をぜいたくに使用できることから、さまざま用途に応用しやすいのです。
パイン材を使用するメリット・デメリット
上記で紹介した「加工のしやすさ」と「安価な価格」はパイン材のメリットでもありますが、これ以外にもさまざまな強みがあります。
反対に、パイン材を利用するうえで押さえておきたいデメリットについても紹介しましょう。
メリット
パイン材は木の香りが豊かで、家具や建具に使用するだけで上質な居住空間を実現できます。
また、木材そのものが固すぎず適度なしなやかさをもっているため、フローリングなどに使用することで衝撃を吸収してくれることもメリットのひとつです。
さらに、柱や壁材として使用すれば、地震などがあっても適度に衝撃を和らげてくれます。
デメリット
パイン材の適度な柔軟性やしなやかさは、メリットであると同時にデメリットとしてとらえることもできます。
特に床に重いものを落としたり、鋭利なもので引っ掻いたりしたとき、傷や凹みができやすいでしょう。
また、湿度を吸収したり放出したりすることで木材が乾燥し、反りやひび割れが現れることもあります。
またヤニ成分を含むため、使用する部位には十分注意する必要があります。
パイン材を使用した家具:3選
パイン材はさまざまな家具の原料としても人気の木材です。
どういった家具があるのか、代表的なものをいくつか紹介しましょう。
①テーブル
木の温もりと上質な香りが楽しめるパイン材は、テーブルの天板に使用されることも多いです。
ただし、比較的柔らかい素材であることから、無垢材をそのまま使用するのではなく、合板や集成材、さらには入念なコーティングを施し強度を上げているものも少なくありません。
②チェスト
パイン材は小型のタンスやチェストなどに使用されることもあります。
手頃な価格でありながらも上質な木の雰囲気が楽しめるため、コストパフォーマンスの高い家具をつくるうえでは欠かせない材料といえるでしょう。
③食器棚
食器棚は毎日使用するものだからこそ、上質なものを選びたいと考える方が少なくありません。
チェストと同様、パイン材を使用することで質感を損なわず手頃な食器棚をつくることができます。
床材にパイン材を使用して後悔する人がいる?
新築やリフォームの際、安価で質感の高いパイン材を床材として活用する方も少なくありません。
しかし、なかにはさまざま理由によって後悔する方もいるようです。
特に多いのが、傷がつきやすいということ。
上記でも紹介した通り、パイン材は比較的柔らかい木材のため、気づかないうちに細かい傷や凹みなどが現れてきます。
また、木材そのものが鮮やかな色であるがゆえに、汚れやホコリが目立ちやすいことも挙げられます。
このような悩みを解決するためには、場所や用途に適したフローリング材を選ぶことが重要といえるでしょう。
たとえば、特に人の往来が多い廊下や玄関、リビングなどには硬い素材の床材を選び、寝室や書斎など落ち着いた雰囲気が好まれる場所にはパイン材を使用するのもひとつの方法といえます。
パイン材の平均価格帯
2022年11月現在のパイン材の平均価格は、テーブルの天板に使用するサイズ感のもので1万1,000円前後となっており、木材全体のなかでも手頃な価格帯を維持しています。
これはラジアタパインの平均価格帯ですが、国産の地松材と比較しても同程度の傾向が見られます。
ちなみに、タモ材やスギ、ナラ材となるとパイン材の1.5倍以上の相場となっていることから、コストパフォーマンスは高い木材といえるでしょう。
フルタ二ランバーでの取り扱い
石川県金沢市の木材販売会社フルタニランバーでは、無垢板材や集成材、合板、丸太など、さまざまな木材を取り扱っています。
パイン材のラインナップは集成材では赤松・ラジアータパイン・メルクシパイン・アロカリア、無垢板材も赤松・ベイマツ・ピーラ・イエローパイン・アロカリアなどを豊富にストックしており、木材の供給が不安定化しているなかでも、海外からの直輸入仕入れと生産体制により手頃な価格での提供を実現しています。
パイン材の取り寄せにお困りでしたらまずは一度ご相談ください。
まとめ
マツを原料に生産されるパイン材は、適度な柔軟性としなやかさがあり、加工がしやすく低価格な木材です。
それだけに、家具や建材などさまざま用途に活用でき、コストパフォーマンスにも優れています。
一方で、傷がつきやすく経年変化もしやすい、また独特のヤニ成分が出るというデメリットもあるため、用途や場所に応じて使い分けることが重要といえるでしょう。