石川県金沢市の総合木材問屋
フルタニランバー株式会社

コラム「森のフルタニさん」

木材不足と木材高騰を招いたウッドショックの解説と原因について

投稿日:2021.09.02/更新日:2023.04.20

 

2021年に入り、住宅用建材として用いられる木材の供給量が減少し価格が高騰する「ウッドショック」とよばれる現象が発生しています。

 

建設業界をはじめとしてさまざまな業界へ深刻な影響を及ぼすことが予想されていますが、そもそもなぜウッドショックは発生したのでしょうか。

 

今回の記事ではウッドショックが発生した原因や、今後の見通しなども含めて詳しく解説します。

 

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木材不足と木材高騰を招いた「ウッドショック」とは

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ウッドショックとは、木材の需要拡大にともない供給が追いつかず、主に住宅に使用する木材の価格が高騰している状況のことを指します。

 

 

経済産業省のWebサイトで公開されているデータによると、2020年の7月頃まで丸太の価格は国内・輸入ともに下落傾向にありました。しかし、2020年8月を境に上昇へ転じ、その後1年以上にわたって価格の高騰が続いています。

 

 

特に2021年に入ってからは輸入価格の高騰が顕著に見られ、2021年3月を境に急激に上昇。

 

 

2021年4月以降は国内価格もそれに比例するように高騰しています。1970年代、原油価格の高騰により生じたオイルショックになぞらえて、現在発生している木材の需要逼迫を表す言葉として「ウッドショック」とよばれています。

 

 

かつて日本では、国産木材が豊富に流通していました。しかし、戦前から戦中にかけて林業の急速な発展にともない多くの木が伐採され、資源不足に陥ります。

 

 

その結果、林業は衰退し国産木材だけでは国内需要を賄いきれなくなり、輸入木材に頼るようになったのです。

 

 

そのような背景もあって輸入木材の価格高騰は深刻な問題であり、住宅メーカーはもちろん、家具メーカーなども価格に反映せざるを得ない状況となりました。

 

 

出典:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20210719hitokoto.html

 

 

 

 

「ウッドショック」が起きた原因

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では、なぜこのタイミングでウッドショックが発生したのでしょうか。

その背景にはさまざまな原因があるのですが、中でも大きいのが新型コロナウイルス感染症の影響です。

 

 

ウッドショック原因①労働力不足

コロナ禍によって世界は大きな混乱に陥り、中国や米国、ヨーロッパの国々ではロックダウン(都市封鎖)が行われる事態にまで発展しました。不要不急の外出は禁止され、一部の業種を除いた企業には休業措置も求められました。

 

 

その結果、林業に従事していた世界の労働者は働けなくなり、木材の生産量が大幅に低下。同時に、木材を加工する製材工場も稼働をストップし、輸入量が大幅に減少したのです。

 

 

ウッドショック原因②住宅需要の増加

ロックダウンを行うのと同時に、世界の国々では大規模な経済政策も進められました。

米国ではかつてない低金利の住宅ローンが提供され、住宅の新築需要が一気に増加。

 

 

多くの企業でリモートワークが日常になったこともあり、住む場所を自由に選択できるメリットを生かし郊外へ住居を構える人が増えました。

 

 

このような動きは米国だけでなく中国なども同様であり、世界同時多発的に発生したことによって木材の供給不足に一層拍車がかかったのです。

 

 

このように、ウッドショックの背景には新型コロナウイルス感染症が根本的な要因として存在し、「ロックダウンによる労働力不足」と「住宅需要の急激な増加」などの複合的な要素によって木材の供給不足に陥っていることが分かります。

 

 

 

 

木材不足と木材の高騰の状況

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木材に限らず、石油や天然ガスなどの資源は需要と供給のバランスに応じて変動するものです。

 

 

もっとも身近な例としては、ガソリンスタンドに掲示されているレギュラーやハイオク、軽油の価格が挙げられるでしょう。

これらの価格が日々変動するように、木材価格もつねに一定ではなく、多少の値動きがあります。

 

 

しかし、木材の場合は数ある天然資源の中でも比較的価格は安定しており、特に丸太を加工した後の製材に関しては2015年以降、年単位で見ても国内価格がほぼ横ばいの状況が続いていたのです。

 

 

これが、2021年に入ってからは輸入価格・国内価格ともに急激に上昇。

2020年の国内価格と比較すると、2021年5月の段階でおよそ30%も上昇しており、価格高騰に歯止めがかからない状況が続いています。

 

 

これまで日本国内の新築戸建住宅の販売は順調に伸びていたのですが、2021年に入りウッドショックが発生した以降は急激に鈍化しています。

2020年に新型コロナウイルスが拡大したタイミングで春先には一時的に低迷しましたが、その後の反動によって大きく回復し、ピーク時の2020年8月には170%にも達しました。

 

 

しかし、2021年に入りウッドショックが発生した後は、3年以上前の水準にまで逆戻りしている状況です。

 

 

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木材不足と木材の高騰はいつまで続く?

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不動産業界や建設業界を中心に深刻な影響を及ぼしているウッドショック。

 

 

木材の資源そのものが枯渇したわけではないため、あくまでも現在の価格高騰は一時的なものであり、やがては従来の水準まで戻る可能性が高いでしょう。

 

 

しかし、多くの関係者にとって重要なのは、「いつまで続くのか」ということです。

 

 

これまで前例のないウッドショックに対して、国もさまざまな対策を講じています。

 

 

2021年4月、林野庁は「令和3年度 国産材の安定供給体制の構築に向けた中央需給情報連絡協議会」を開催し、主要業界団体に対して住宅建築向け木材の適切な発注を要請しました。

 

 

しかし、これはあくまでも企業の過剰在庫を抑制する一次的な対応に過ぎず、ウッドショックの根本的な解決にはつながりません。

 

 

林野庁はウッドショックがいつまで続くのか今後の予測は極めて困難である認識を示しており、具体的な期限や見通しは立っていないのが実情です。

 

 

当初は新型コロナウイルスに端を発したウッドショックですが、現在では米国や中国などにおける住宅需要の急激な拡大が根本にあり、国の政策転換などによって需要が落ち着くまでウッドショックは当面続くという見方があります。

 

 

出典:https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/ryutsu/attach/pdf/kyougikai-122.pdf

 

 

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木材不足と木材高騰の原因|まとめ

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ウッドショックは、かつてない木材不足によって価格が高騰したことにより発生しました。

 

 

その背景には新型コロナウイルスの世界的な拡大が存在し、そこから派生したさまざまな要因によって引き起こされたものといえます。

 

 

不動産業界や建設業界に深刻な影響を及ぼしているウッドショックに対し、国としてもさまざまな対応はとっているものの現時点で収束の見通しは立っていないのが実情です。

 

 

ウッドショックは長期化することも予想されるため、今後注視しつつもビジネスモデルの転換や国産木材の供給量拡大などの対策も急がれます。

 

 

フルタニランバーといたしましては、このような事態に陥っても問題がないよう豊富な在庫を抱えております。

 

また、国内外の仕入れ先から最新の情報を集め、材料の確保に動いております。

お客様への供給が滞り、仕事がストップすることがないように、これからも安心で安全な供給を心がけてまいりたいと思います。

 

木材不足でお悩みがありましたら弊社で解決のご協力ができる事もあるかと思いますので、お気軽にお電話・LINE・お問い合わせフォームからご連絡ください。