フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
ローズウッド(紫檀)の木材としての魅力や用途について解説!
投稿日:2024.05.15/更新日:2024.07.30
ローズウッド(紫檀)は、楽器や高級家具、装飾品などに用いられることの多い高級木材です。
特にギターに詳しい方にとっては馴染み深い木材のひとつであり、一度は耳にしたこともあるのではないでしょうか。
本記事では、ローズウッドは他の木材と比較してどのような特徴・魅力があるのか、主な用途をご紹介するとともに、比較されることの多い黒檀との違いについても解説しましょう。
Contents
ローズウッド(紫檀)とは
ローズウッドとは、マメ科ツルサイカチ属の植物の総称であり、日本では「紫檀(シタン)」ともよばれています。
高級木材として知られ、古くから家具や楽器、仏壇などの材料として用いられてきました。
天然のローズウッドは違法伐採のターゲットになりやすく個体数が激減したことから、2017年にワシントン条約に登録され、現在では伐採が厳しく制限されています。
一方で、木材としての需要が極めて高いことから、東南アジアではローズウッドの植林が盛んに行われています。
ローズウッド(紫檀)の木材としての特徴
数ある木材を比較したとき、ローズウッドにはどういった特徴が見られるのでしょうか。
自然な光沢・美しさ
「紫檀」という和名からも分かるように、ローズウッドの心材は紫がかった独特の濃い色をしており、美しい光沢が見られます。
これは木材の内部にヤニを含んでいるためであり、年数が経過するとともに深みのある色合いとツヤが楽しめます。
密度が高く耐久性がある
ローズウッドは非常に密度が高い木材であり、優れた耐久性を誇ります。
また、密度が高いということは温度や湿度による木材の狂いも生じにくく、安定性にも優れています。
ローズウッドを原料に作られたアンティーク家具や楽器などは、長い年月を経ても当時のままきれいな状態を維持しているものが数多くあります。
虫や菌に強い
ローズウッドにはヤニが多く含まれ、木材そのものにも独特の香りがあります。これにより虫や菌を寄せ付けず、虫食いや腐敗を防ぐ効果が見られます。
加工がやや難しい
密度が高いローズウッドは耐久性に優れている反面、加工がしにくいというデメリットもあります。
一般的なノコギリやカンナなどでは加工の難易度が高く、釘やネジなどを使った組み立てもしにくいことから、初心者がDIYで扱うには不向きな木材といえるでしょう。
高価である
ローズウッドは高級木材の代名詞的な存在であり、ホームセンターなどでは入手しにくく価格も高価です。
ローズウッドという呼び名の由来
ローズウッドはその名前から、バラ科の植物であると誤解されることが多くあります。
実際にはマメ科に属する植物であるにもかかわらず、なぜこのような名前が付いているのでしょうか。
ローズウッドを伐採した直後、木の断面からはバラのような独特の甘い香りが感じられることが名前の由来となっています。
家具や楽器の材料として用いられることが多いローズウッドですが、原産地であるブラジルでは香料の原料としても親しまれてきた歴史があるのです。
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ローズウッドの種類と産地について
ローズウッドはマメ科ツルサイカチ属の植物の総称であるとご紹介しましたが、具体的にどういった種類があるのでしょうか。
それぞれの特徴の違いと産地について詳しく解説します。
ブラジリアンローズウッド
ブラジリアンローズウッドはその名の通りブラジル原産のローズウッドで、「ハカランダ」の愛称でも有名な木材です。
主にギターのボディや指板などに使用されることが多く、ハカランダを原料に作られたビンテージギターは100万円を超える価格で取引されることも珍しくありません。
1960年代以前まではギターの材料として一般的に用いられてきましたが、規制対象材となり、現在は極めて希少価値が高く入手が困難です。
インディアンローズウッド
インディアンローズウッドはインド原産のローズウッドで、比較的入手しやすいのが特徴です。
現在、「ローズウッド」という表記で販売されている木材はインディアンローズウッドを指す場合が多いです。
強度や耐久性に優れた木材であることから、現在はブラジリアンローズウッドの代替材料として用いられています。
インドネシアローズウッド
インドネシアローズウッドはインドネシア原産のローズウッドで、「ソノケリン」ともよばれます。
ブラジリアンローズウッドに並ぶほど希少価値の高い木材で、高い密度と強度を誇る特性を活かしフローリング材に用いられることがあります。
深みのある褐色の心材と、鮮やかな白色の辺材のコントラストは美しく、他の木材にはない存在感を強調してくれます。
ホンジュラスローズウッド
ホンジュラスローズウッドはベリーズ原産のローズウッドで、「ニュー・ハカランダ」ともよばれます。
その名の通りハカランダに近い特徴が見られ、ほかのローズウッドに比べると心材の色が濃い傾向があります。
かつてはブラジリアンローズウッドの代替材として使用されていましたが、現在ではホンジュラスローズウッドも違法伐採が進み入手困難となっています。
上記の4種は、ローズウッドの中でも代表的な木材です。
これ以外にも「南米原産のアマゾンローズウッドやキングウッド」「チューリップウッド」「中南米原産のユカタンローズウッド」「南アフリカ原産のアフリカンブラックウッド」などもあります。
関連記事:赤松(アカマツ)の特徴とは?木材としての用途や黒松(クロマツ)との違いについて
ローズウッド(紫檀)の木材としての用途
ローズウッドは高級木材としてさまざまな用途に用いられていますが、その中でも代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
楽器
ブラジリアンローズウッドの例でもご紹介した通り、ローズウッドは古くからギターの材料として用いられてきました。
アコースティックギターやエレキギターのボディ、指板にハカランダを用いたモデルは非常に高価で、ビンテージギターともなると100万円以上の値を付ける製品も珍しくありません。
家具
テレビボードやチェスト、テーブルなどの家具にもローズウッドが用いられることがあります。
ローズウッドは密度が高く耐久性に優れ、経年変化が楽しめる木材でもあるため、一生物の家具を作りたいという方にとっては最適な材料といえるでしょう。
楽器と同様、ローズウッドで作られたアンティーク家具は希少価値が高く、高値で取引されることが多くあります。
装飾品や彫刻
小物入れや数珠、万年筆、仏像など、装飾品・彫刻の材料としてもローズウッドが用いられることがあります。
密度が高く加工の難易度が高いこともあり、これらの製品は高値で取引されています。
関連記事:米ヒバ(ベイヒバ)とは?木材としての特徴や価格を徹底解説
ローズウッドのギターの特徴とは?
アコースティックギターやエレキギターのボディ・指板には木材が使用されています。
特にアコースティックギターは、木材によって音の立ち上がりや響きなどが大きく変わってくることから、木材選びは重要なポイントといえます。
ローズウッドはアコースティックギターのバックおよびサイド部分に用いられることが多く、弦を弾いたときに音が素早く立ち上がる特性があります。
ハカランダは特に音のレスポンスが良いことから、古くからギターの材料として用いられてきましたが、現在では入手が困難でインディアンローズウッドが代替材として使用されています。
また、ギターの弦を押さえる部分の指板は、ひび割れや反りが生じると本来の役割を果たせなくなることから、耐久性に優れた木材を選ばなくてはなりません。
密度の高いローズウッドはギターの指板に適した木材のひとつであり、比較的マイルドな音色が特徴です。
関連記事:木材加工とはどんな加工?種類や機械、依頼する業者を選ぶポイント
紫檀と黒檀の違いは?
紫檀(ローズウッド)と似た特徴をもち、高価で取引されている木材に「黒檀(エボニー)」があります。
紫檀はマメ科ツルサイカチ属の植物とご紹介しましたが、黒檀はカキノキ科カキノキ属の樹木です。
また、紫檀の心材は紫がかった茶褐色が特徴ですが、黒檀はその名の通り黒に近い褐色をしており、色が濃い心材ほど高価で取引される傾向があります。
木材の密度や耐久性を比較すると、紫檀よりも黒檀のほうが密度が高く極めて固い性質があります。
このような性質を活かし、アンティーク家具や仏壇、楽器などの材料として使用されており、黒檀を使った製品は高値で取引されています。
ただし、一般的な木材に比べると加工の難易度は極めて高く、木材そのものの入手も困難であることからDIYには不向きな材料といえるでしょう。
【まとめ】ローズウッド(紫檀)は色味が魅力の高級木材
数ある木材の中でもローズウッドは深みのある色合いと優れた耐久性が魅力であり、高値で取引されている高級木材です。
近年ではブラジリアンローズウッドやホンジュラスローズウッドなどの伐採・輸出が厳しく制限されています。
そのため、主にインディアンローズウッドやインドネシアローズウッドが広く流通しています。
希少価値の高い木材であるからこそ、家具や楽器に用いることで他の製品にはない高級感や重厚感が得られるはずです。
今回ご紹介したローズウッド(紫檀)やエボニー(黒檀)の無垢材をお探しの方は、ぜひ一度フルタニランバーまでお問い合わせください。