フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
日本の環境問題の救世主!再生可能な素材として『木』を使う?
投稿日:2022.09.08/更新日:2022.09.08
CO2排出量の増加によって地球環境の破壊は深刻化しており、これを打開するためにさまざまな対策が求められています。
住宅の建設に不可欠な建材選びにおいては、循環型の社会を目指すために「木」の活用が再び注目されています。
本記事では、木材の活用がなぜ環境問題に有効なのかを解説するとともに、国産木材の普及に向けた課題とその解決策を紹介します。
Contents
日本のSDGs施策として有効な木材使用率の向上
2015年にパリ協定でSDGsが採択されて以降、世界各国の政府および企業で持続的な社会の実現に向けた取り組みが行われるようになりました。
SDGsでは17の開発目標が掲げられていますが、貧困や紛争解決、気候変動への有効な対策、世界の人々の健康を維持していくための対策など、その分野は多岐にわたることが分かります。
企業がSDGsへ取り組むにあたっては、自社の事業内容やビジネスモデルなどをもとに、どの開発目標と関連性が高いのかを分析し、持続的な社会の実現に向けて自社でできることから着実に始めていくことが重要といえるでしょう。
たとえば、住宅の建築を手掛ける建設会社や工務店などの場合、SDGsの開発目標のなかでも以下の項目と特に関連性が深いものです。
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
15.陸の豊かさも守ろう
住宅は完成したからといってそれで終わりではなく、その後も修繕やメンテナンス、リフォームなどが求められます。
また、老朽化が目立ってくると住宅を取り壊し、新築として建て直す場合もあるでしょう。
住宅の将来性を見越したとき、再利用にコストがかかったり、処分する際に環境負荷が増大しがちなカーボン素材などを採用するのではなく、木を採用することで環境対策に役立つと期待されます。
木を伐採し、住宅用建材として利用することは自然破壊につながるのではないか、ととらえられがちですが、木は成長するにつれてCO2吸収量が減少していきます。
そこで、森林は木の成長に合わせて間伐をすることが重要なのです。
伐採した木材は住宅用建材に活用し、新たに森林へ植樹をすることで循環型の資源を手に入れられることとなります。
これまでの日本では、林業の担い手不足などの理由から国産木材の供給量が少なく、多くを輸入木材に頼ってきました。
しかし、2020年を境に発生したウッドショックにより輸入木材が高騰し、それに影響される形で国産木材の価格も大幅に上昇しています。
今後、国産木材の消費量が安定的に維持できるようになれば、木材の国内生産・国内消費のサイクルが定着し、ウッドショックのような事態が発生した際にも安価に供給できる可能性があります。
>>円安による木材業界への影響とは?価格が高騰している原因や業界の動向を解説<<
国産木材を増やす際の課題
国産木材の供給量を増やすためには、木を伐採した後に植林を行い、間伐をするというサイクルを維持することが重要です。
しかし、これだけで問題が解決できるとは限らず、ほかにも解決すべきさまざまな課題が残っています。
ボトルネックのひとつは乾燥工程
その課題のひとつが乾燥工程です。
輸入材が主流になった際、乾燥された材が輸入された為、国内で乾燥機を保有する業者は減少していきました。
現在では再び国内での乾燥が必要になり、作業の効率化が求められています。
乾燥に時間がかかる
木を伐採した後、その直後に建材として利用できるものではなく、一定期間乾燥させる必要があります。
乾燥が不十分なまま建材として使用してしまうと、建物に歪みが生じたり、変色が生じやすくなったりすることがあります。
また、木材から放出される水分によって室内の湿度が上がり、内装にカビや腐食が発生するリスクもあるのです。
しかし、木材の乾燥には時間を要するため、実際に木を伐採し出荷するまでのスパンが空いてしまいます。
また、その間に木材を保管しておく広大なスペースも不可欠です。
乾燥の際にカビ、割れ、曲がりでロスが多い
伐採した木はすべて同じように見えても、実際には個体差があるものです。
たとえば、十分な乾燥時間を確保しておいたとしても、乾燥の工程でカビや割れ、曲がりなどが発生するケースも多く、全てが売り物になるとは限りません。
このようなロスは決して少なくなく、不良品が発生する確率が高いことから十分な収益が確保できるとは限らないのが現状です。
乾燥の際の燃料費が高い
木材の乾燥には大きく分けて「天然乾燥」と「人工乾燥」とよばれる2つの方法があります。
天然乾燥とは、その名の通り屋外に木材を広げ、天日によって乾燥させるのに対し、人工乾燥とは専用の機械や設備で強制的に乾燥させる方法です。
多くの事業者では出荷の効率を高めるために人工乾燥を用いていますが、専用機械や設備では燃料を燃やす必要があります。
日本では化石燃料のほとんどを輸入に頼っている現状があるため、コストがかかりすぎて商品価格へ転嫁せざるを得ない現状があるのです。
結果として輸入木材のほうが割安となり、国産木材の供給量を増やしたとしても安定的なニーズをつかむことは簡単ではありません。
>>木材乾燥の重要なポイント|理想の含水率や強度、保管方法なども解説<<
woodbeならその課題を解決
国産木材の安定的な供給を実現するためには、単に木の伐採量を増やせば良いということではなく、伐採した後の乾燥においてさまざまな課題が残っていることが分かりました。
そこで、フルタニランバーでは、上記で紹介した課題を解決するために、『woodbe』とよばれる木材乾燥技術を開発しました。
woodbeの仕組み
woodbeはどのようなメカニズムで木材乾燥を効率化するのでしょうか。基本的な仕組みを紹介します。
①「Eiddy」とよばれる改質水製造装置で水道水や井戸水を「SW1水」という水に改質
↓
②ボイラーでSW1を水蒸気化
↓
③乾燥炉内に木材を入れ、SW1の水蒸気(100℃以上)を噴射
↓
④細分化された水蒸気によって木材の内部に熱が伝わる
↓
⑤木材の表面に出てきた水分が炉内の熱によって蒸発
↓
⑥素早く高品質な木材が完成
木材は単に乾燥すれば良いというものではなく、一定の水分量が維持されて初めて強度が確保できます。
しかし、あまりにも急激に乾燥させてしまうと、木材に割れや歪みが生じるリスクがあるのです。
そこで、woodbeでは水蒸気を細分化した粒子に改質してから、抗火石で敷き詰められた炉内に噴射することによって、効率的に乾燥させることに成功しました。
woodbeを使う間接的なメリット
woodbeは、これまでにない革新的な木材乾燥を実現できる技術といえますが、これによってどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
乾燥工程そのものの効率化以外で、社会全体にとっての間接的なメリットをいくつか紹介しましょう。
国産材のシェア拡大
これまで国産木材が普及してこなかった要因のひとつに、木材生産・加工の効率性が低いことが挙げられていました。
しかし、woodbeを導入することで短時間での乾燥が実現でき、乾燥を終えた木材も割れや歪みが少ないことから、収益の向上が期待されます。
その結果、国産木材の生産・加工に参入する事業者も増え、輸入木材に負けないほどのシェア拡大につながる可能性があるでしょう。
山林・環境の再生
森林を維持していくためは、植樹をした後に木の成長に合わせて間伐も行う必要があります。
しかし、現在の日本では林業の従事者が減少しており、植樹から間伐までの手入れが行き届いていない森林が少なくありません。
woodbeを導入する事業者が増えれば、木材乾燥が効率化され高い生産性が期待されるビジネスモデルが構築できるでしょう。
その結果、森林における理想的な循環サイクルが復活し、森林環境の再生につながります。
国内の木材を利用することで再造林を促す
国産木材の需要が高まり林業の担い手が増えてくると、現在の森林面積だけでは需要を賄いきれなくなる可能性もあるでしょう。
そこで注目されるのが再造林です。
過去に木を伐採した後、植樹をせずそのままの状態になっている場所も少なくありません。
そこで、再び植林を行い、本来の森林の機能を取り戻すことを再造林とよびます。
再造林が増えれば自然が戻り景観が改善することはもちろん、土砂崩れなどの自然災害のリスクも低減できると考えられます。
業界活性化で林業の担い手不足解消
日本では林業を含めた一次産業の担い手不足が深刻化しており、経済そのものも大きく低迷している現状があります。
しかし、woodbeのような次世代の技術や設備、機器を活用することにより利用の促進が出来、「儲からない」、「非効率的」といったネガティブな印象が払拭され、担い手不足の解消につながる可能性もあるでしょう。
国産木材の供給拡大に貢献するwoodbe
住宅の建設において木材を使用することは、温暖化対策の側面だけでなく、経済的な側面からもSDGs施策として有効な方法といえます。
現在、ウッドショックや円安の影響によって輸入木材の価格が高騰していることもあり、国産木材に再び注目が集まっています。
国産木材の安定的な供給には木材乾燥の効率化が求められますが、そのためのひとつの手段としてフルタニランバーのwoodbeはおすすめです。
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