フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
円安による木材業界への影響とは?価格が高騰している原因や業界の動向を解説
投稿日:2022.08.02/更新日:2022.09.08
2022年の春以降、急激な円安が進んだことでさまざまな商品の値上げが相次ぎました。
住宅建設に不可欠な木材もそのひとつであり、円安以外にもさまざまな要因によって調達価格の高騰が続いています。
本記事では、円安が続くことで国内林業にどのような影響がもたらされるのか、さらには住宅を購入する消費者にとっての影響についても詳しく解説します。
Contents
木材が高騰している原因
2020年から2022年にかけて木材価格が高騰している背景には、主に「円安」、「ウクライナ情勢」、そして「ウッドショック」という3つの原因が挙げられます。
それぞれについて詳しく解説しましょう。
木材高騰の原因①円安
2022年3月上旬頃までは、米ドル対円相場はおよそ115円程度で推移してきました。
しかし、2022年3月中旬頃から118円台、3月下旬になると120円を突破します。
5月上旬に130を突破した後も断続的に円安傾向は高まり、7月の時点では135円程度で推移している状況です。
年始の時点で比較すると、20%弱の円安となっていることがわかります。
日本では多くの木材を輸入に頼っていることもあり、円安の影響が輸入価格に直接的に影響しやすいのです。
木材高騰の原因②ウクライナ情勢
2022年の春から続いている、ウクライナに対するロシアの侵攻も木材価格を引き上げる大きな要因となっています。
そもそもロシアは、世界のなかでも有数の森林大国であり、日本も多くの木材を輸入していました。
しかし、ウクライナ情勢によって世界各国はロシアに対して経済制裁を加えることとなり、木材の輸入もストップしている状況です。
もちろん、ロシア以外にも木材を供給している国はありますが、それらの国に需要が集中したことで木材全体の価格が高騰しています。
木材高騰の原因③ウッドショック
2020年から続く木材価格の高騰は、もとを辿れば新型コロナウイルスに端を発したウッドショックが影響しています。
世界各国でロックダウンが起こり、林業を含めて多くの仕事がストップし、供給量の低下を生じさせました。
ロックダウンはあくまでも一時的なものではありましたが、コロナ禍そのものがいつまで続くか分からない状況に変わりはありません。
その結果、世界中の企業はできるだけ多くの木材を確保しようと動き、需給バランスが崩れ価格に反映されるようになったのです。
円安と円高の国内林業に与える影響
円安や円高と聞くと、たびたび頭が混乱してしまい、「日本にとっては結局どちらが良いのか?」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
まず、日本という大きな括りで考えた場合、一概にどちらが良い・悪いと判断できるものではなく、立場や業種、企業によってもメリット・デメリットがあります。
そこで今回は、国内における林業という部分に絞って影響を考えてみましょう。
円安の時の国内林業への影響
現在のような円安の状況下では、国産木材の需要が上がる傾向があるため、国内林業にとってはメリットが大きいといえるでしょう。
そもそも円安とは、その名の通り円の価値が下がることを指します。これを言い換えれば、ドルの価値が上がることでもあります。
今回の例でいえば、海外のある製品を購入する場合、1ドルの価値が115円から135円まで上がったことで、海外の製品を購入するのにより多くのお金を支払わなければならない、ということです。
国産木材は輸入木材に比べて高価であり、売上が伸びにくいといった短所がありました。
しかし、円安=輸入木材の価格が高騰している状況下では、国産木材と輸入木材の価格差が埋まり、相対的に購入のハードルが下がることになります。
円高の時の国内林業への影響
上記とは反対に、円高に陥った場合はどうなのでしょうか。
当然のことながら、ドルの価値が下がるため海外の製品を安く購入できるようになります。
その結果、輸入木材の価格は下がるため、国産木材の需要も低下してしまうのです。
輸入木材と国産木材と聞くと、価格が高い分国産木材のほうが品質面で優れているのではないか、と考える方も少なくありません。
確かに、スギやヒノキなど優れた国産木材は数多くありますが、木材の種類によっては輸入木材のほうが優れているものもあるのです。
また、国産木材が高価な理由としては、人件費や造林にかかるコストの問題が大きく、安価でも高品質な輸入木材があればそちらの需要が高くなるのは当然のことといえるでしょう。
円安時の住宅購入にもたらす影響
上記では、木材を供給する側の林業にフォーカスを当てて紹介しました。
では、住宅を購入する消費者の立場で考えたとき、どのような影響が考えられるのでしょうか。
新築住宅の価値が上がる
結論からいえば、住宅を購入する消費者にとって、円安はメリットよりもデメリットのほうがはるかに大きいといえるでしょう。
国産木材を採用したとしても、これまで輸入木材がメインであった時代と比較すると、最終的な価格は高騰することになります。
なぜなら、円安だからといって国産木材の価格が下落する可能性は低いためです。
また、そもそも国産木材は供給量が限定的であり、あまりにも需要が高まるとさらなる価格高騰をも招きかねません。
その結果、新築住宅の建設にかかるコストは跳ね上がり住宅価格が高騰する可能性があります。
住宅購入にかかる費用を貯蓄している方や、住宅ローンの利用を考えている方にとっては、資金計画が大きく狂ってしまい、本来の希望通りの住宅を建設できなかったり、購入そのものを見送ってしまうといった事態にもなりかねないのです。
新築住宅の工期が遅れる
もうひとつの懸念すべきポイントとしては、住宅建設にかかる工期の遅れが考えられます。
円安が発生すると、今の状況が落ち着いて円高傾向に戻るまで着工を遅らせようとする建設事業者や消費者が現れます。
その結果、円安傾向が長引けば長引くほど木材が調達できず、工期を延期せざるを得ない状況に陥るのです。
また、仮に短期間で円安が回復したとしても、その反動で世界から木材の注文が一気に入り、一時的に需要過多に陥る可能性もあるでしょう。
価格がもとの水準に戻ったとしても、建設現場に木材が入ってくるまでに時間を要し、工期の遅れにつながります。
長期化する国内木材価格の高騰
冒頭でも紹介した通り、現在の木材価格の高騰は円安、ウクライナ情勢、コロナ禍といった3つの要因が重なったものです。
仮に、円安が一時的なもので2022年中にもとの水準に戻ったとしても、ウクライナ情勢やコロナ禍が収束する出口は見えていないのが実情です。
そのため、国内における木材調達価格の高騰は長期化する可能性が高いといえるでしょう。
今後さらに木材の価格が高騰するのか、いつになったら収束するのかは先が見えない状況です。
ただし、一般住宅の建設を手掛ける事業者のなかには、一定量の木材を在庫として確保している企業もあります。
できるだけ安く住宅を購入するためには、そのような事業者を探してみるのもひとつの方法といえるでしょう。
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