フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
「ヒバ材」にはどのような特徴がある?主な用途やメリット・デメリットも解説
投稿日:2022.04.01/更新日:2022.10.03
高級感のある木材といえば、ヒノキや国産杉などが代表格として挙げられますが、希少性が高く実用面でも優れている「ヒバ」も忘れてはならない存在です。
しかし、名前は耳にしたことがあっても特徴が分からない方や、ほかの木材と比べて何が良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ヒバの魅力を紹介するとともに、メリットやデメリット、代表的な用途なども含めて詳しく解説します。
Contents
ヒバ材の特徴
ヒバとはヒノキ科アスナロ属の針葉樹です。別名「アスナロ」とよばれることも多く、日本国内では石川県の能登ヒバと青森県の青森ヒバが特に有名です。
ヒノキやスギと並んで木造建築物の建材として使用されることが多く、独特の芳香成分である「ヒノキチオール」はヒノキよりも多く含まれていることも特徴のひとつ。
ヒノキチオールには抗菌や防虫効果があり、害虫を寄せ付けないため土台や柱などに重宝する木材といえます。
一方、ヒバの独特の香りは人間に対してリラックス効果を与え、ストレスを緩和する効果も期待できます。
ヒバの歴史は古く、青森県内では江戸時代からヒバ林が厳重に管理されていたこともあり、現在まで資源が確保されています。
しかし、スギに比べると分布エリアが限られていることもあり、現存量は10分の1程度となっています。
ヒバ材の3つのメリット
ヒバを建材として使用したとき、どのようなメリットがあるのでしょうか。主な3つのポイントを紹介します。
①防湿効果
上質なヒバのチップは防湿材としても用いられることがあり、優れた効果を発揮します。
湿気の多い水回りや基礎部分などにおいても使用できるほか、柱やフローリングなどにヒバを活用することで湿度の上昇を抑え、カビを防ぐ効果も期待できます。
②防腐効果
青森県にあるヒバの埋没林は、今から約800年前に大津波によって地中に埋没しました。
しかし、その間に腐食したのは表面のわずか数cm程度で、それ以外の部分は腐食することなく製材として使用できるほどだったといいます。
ヒノキチオールが豊富に含まれているヒバは防腐効果が抜群であり、木材住宅の建材として優れた資源といえるでしょう。
③消臭・脱臭効果
害虫を寄せ付けないヒバは、不快なニオイにも効果を発揮することがわかっています。
トイレやキッチン、さらにはバスルームなど、さまざまな場所にヒバ材を活用することによって嫌なニオイを消し清潔な空間を維持できるでしょう。
ヒバ材のデメリット
ヒバは建材としてさまざまなメリットがある一方で、デメリットや注意しなければならないポイントも存在します。
ねじれや変形が生じやすい
ヒバは真っ直ぐに伸びているようでも途中でねじれが生じているものも多く、樹木の断面が円形でないものも存在します。
また、ねじれ方も1本1本異なり、加工には熟練の技術が必要です。
建材として均一にカットして使用することに向かないものもあり、そのような場合はあえて自然の形を残し柱などに使用されることもあるようです。
コストが高い
ヒバの生育スピードは極めて遅く、幹の直径が70cm程度になるまでに300年という歳月を要します。
また、スギに比べると圧倒的に分布量が少なく、そのほとんどが青森県内に集中していることもあり、希少な資源として高値で取引されます。
ヒバ材は極めて優れた建材ではあるものの、その分コストも高くなってしまいます。
ヒバ材の経年変化
防腐効果に優れたヒバ材ですが、経年変化によって色合いが変わることもあります。
はじめのうちは鮮やかな白に近い色合いが楽しめますが、歳月を重ねるうちに茶褐色の飴色に変化していきます。
新築の鮮やかな色のヒバ材も新鮮な気持ちになりますが、経年変化によって飴色になったヒバ材も味わい深く感じるものです。
ただし、防腐効果が高いヒバ材とはいえ、できるだけ経年による劣化は避けたいもの。
直射日光が当たりやすい場所では紫外線によるダメージを受けやすいことから、表面に再塗装を施すことで経年劣化のスピードを緩やかにできます。
ヒバ材の価格
ヒバは数ある木材のなかでも高価な部類に入りますが、国産か海外産か、または無垢材か集成材かによっても大きく価格は異なります。
価格の傾向としては、海外産よりも国産、集成材よりも無垢材のほうが高価になりがちです。
ただし、新型コロナウイルスの影響でウッドショックが発生したことから、木材の価格は世界的に上昇傾向にあります。
輸入木材の高騰に引き連られるように国産木材の価格も上昇しており、ウッドショックの収束見込みはたっていないのが現状です。
ヒバ材の産地
国産のヒバ材は石川県の能登や青森県内がおもな生産地ですが、じつは海外産のヒバ材も存在します。
特にアメリカとカナダから輸入されるヒバ材は「米ヒバ」とよばれ、国産の青森ヒバとは区別されます。
厳密にいえば米ヒバはヒノキ科ヒノキ属の木材であり、ヒノキ科アスナロ属の青森ヒバとは異なる樹木といえます。ただし、米ヒバも青森ヒバと似た特性をもっていることから、米ヒバとよばれるようになりました。
石川県の能登地方を代表する木材、「能登ヒバ」に関する特徴や効果については🔻の記事をご参照ください。
ヒバ材の主な3つの用途
ヒバ材は木造建築物のさまざまな場所・用途に使用されています。なかでも、ヒバ材が用いられることの多い建材の種類を3つ紹介しましょう。
①構造材
構造材とは、建物を支える骨組みのような役割を果たす部分のことを指します。
具体的には柱や梁、土台などが代表的で、構造材に用いられる木材は特に丈夫で耐久性の高いものが求められます。
ヒバ材は数百年といった長い歳月をかけて成長するため、木材の密度が高く耐久性も抜群。
さらに防腐効果や防虫効果も高いため、シロアリなどによる被害も防止できるメリットがあるのです。
②造作材
造作材とは、別名「化粧材」ともよばれ、内装の仕上げなどに使われる部材のことを指します。
具体的には天井板やフローリング、階段などが代表的な造作材に挙げられ、建物の使い勝手や居住性を大きく左右する存在といえるでしょう。
ヒバ材特有の香りは住む人に安らぎを与えることから、古くから造作材として用いられてきた歴史があります。
③建具
建具とは、窓やドア、扉、襖(ふすま)など、開口部に取り付けられている開閉機能をもった仕切りのことを指します。
また、窓やドアそのものだけでなく、それを支える枠も建具の総称として用いられます。建具は毎日のように開閉する部分であることから、居住者の生活に密着した部分ともいえます。
建具にヒバを使用することで高級感のある住宅を演出でき、満足度も向上すると期待できるでしょう。
まとめ
国内では石川県や青森県に集中的に分布しているヒバ。ヒノキに似た特有の香りは、多くの日本人に癒やしを与えリラックス効果が期待できるでしょう。
また、一般的な木造住宅とは一線を画す高級感も演出でき、上質な室内空間を仕上げるためにも重宝する木材です。
さらに、香りや見た目だけでなく、防湿効果や防虫効果にも優れ、完璧な性能を誇る建材ともいえるでしょう。
国産のヒバ材はコスト面からデメリットもありますが、米ヒバをうまく活用したり、無垢材だけでなく用途に応じて集成材も活用したりすることで、コスト面の課題も解決できると考えられます。
上質な住宅を建てるためにも、ヒバ材をはじめとして建材にこだわってみるのも良いのではないでしょうか。
石川県の能登地方を代表する木材、「能登ヒバ」に関する特徴や効果については🔻の記事をご参照ください。